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2012年6月16日 (土)

雨の日は、「みどりのゆび」を読んでみて

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雨ですね。北山公園の菖蒲も濡れそぼっているかな。

こんなお天気の日は、家でゆっくりお気に入りの本を読んで過ごすのもいいですよね。

私のおすすめは、フランス人作家モーリス・ドリュオンの名作『みどりのゆび』。

ジャクリーヌ・デュエームの繊細なタッチのイラストとともに、くもりのない心を持った少年チトの物語がつづられていきます。

この本の存在を初めて知ったのは、小学生の頃。学校の図書館の本棚で見つけ、その不思議なタイトルに心惹かれたのですが、一度も手に取ることなく時は過ぎてしまいました。そうして、大人になって読んだら、とても素敵な心に残る物語でした。

読後、心に残ったのは、サンテグ・ジュペリの『星の王子様』を読んだときにも感じた、透明な切なさでした。全編を通して、詩を読むかのように物語は進み、研ぎ澄まされた文章に心が癒やされていきます。あらためて、言葉が持つ美しさを再認識させてくれた本です。

物語は、フランソワ・バチストと命名され、みんなから「チト」と呼ばれる、不思議な親指を持った男の子の物語。金色の髪の毛とバラ色のほほを持ち、ぴかぴかの家に暮らすチトは、誰からも愛される子供でした。大金持ちの家に生まれたチですが、彼のお父さんは、なんと鉄砲の商人。チトの暮らすミルポワルの町は、武器産業で潤っていたのです。

8歳になったチトですが、授業が始まると居眠りばかりで、ついに学校から退学させられてしまいます。それからのチトは、お父さんの発案でお抱えの庭師ムスターシュと一緒に園芸の仕事に精を出すのですが、チトが土の中に親指をつっこむと、あら不思議、次々とベゴニアが咲き出すではありませんか! それがチトの秘密だったのです。

「みどりのゆび」を持ったチトの社会勉強は、その後も続きます。刑務所、貧民街、病院などなど、人々が悩み傷つき、眼を覆いたくなる現実を学びに街に出たチトは、現実を知り、「なぜ?」と自らに問いかけながら、「みどりのゆび」を使って、次々とチト・パワーを繰り出すのです。そして汚れなきチトのゆびは、ついには、鉄砲商人であるお父さんの武器工場をも変えてしまうのですが……。

最後にチトが思いをめぐらしたことは、「死」についてでした。なぜなら、チトにとって最大の理解者だった庭師のムスターシュおじいさんが亡くなってしまったから。

そして最終章、チトは、寝ても覚めても「はしご」のことが頭から離れません。それは、チトが何者だったのか、私たちに教えてくれるヒントなのですが、その答えは読んでからのお楽しみ。

先の見えない不安な社会に暮らす私たちですが、チトのような純粋無垢なパワーを発揮すれば、少しはましな社会に近づけるのかもしれません。

ぜひ、大人のあなたもご一読を! 癒やされた後、深く思いをめぐらすことになるでしょう!

■児童書・ファンタジー
みどりのゆび
モーリス・ドリュオン(フランス)
安東次男訳
岩波少年少女文庫

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